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日本では近年、省エネルギー対策が強化され、家庭でも省エネに配慮した生活が強く求められるようになってきました。
家庭における省エネルギー対策のひとつに「エコキュート」の導入があります。
エコキュートは数ある「自然冷媒ヒートポンプ式電気給湯機」の愛称として使われているものです。
エコキュートは空気熱を利用して湯を沸かす高効率給湯機です。
このエコキュートによって湧いた湯はお風呂や調理、最近では温水床暖房やパネルヒーターにまで利用できるようになっています。
近年では各電力会社や給湯機メーカーが競って開発、販売しています。
エコキュートで湯を沸かすために消費する電気エネルギーは、熱エネルギーの場合の3分の1程度なので、従来の給湯機に比べてCO2排出量を60%削減することが可能です。
そして大気中の熱を奪う冷媒のCO2は工場などで発生したCO2をうまく利用しています。
すなわちエコキュートは地球温暖化の元凶であるCO2を逆に利用し、大幅に省エネ効果をあげる画期的な給湯機と言えます。
省エネ住宅では経済性も重要ですが、エコキュートは初期費用がかかるものの、それ以上の経済的メリットがあるといわれています。
また国からの補助金制度もあるため、初期費用の経済的負担は軽減されます。
一方、エコキュートのデメリットとして、設備するスペースが必要なことや、寒冷地に対応していないことなどが指摘されており、今後さらに改善が求められています。
2000年に開発されたエコキュートは2006年には約48万台が設置されました。
経済企画庁は2010年までに520万台の設置を目標にしたい考えで、エコキュートが今後さらに普及し、省エネ住宅が増えることが期待されています。
近年、地球温暖化のもたらす問題が深刻になるにつれて、世界各国で温暖化防止対策が講じられるようになりました。
日本も例外ではなく、2008年から2012年までにCO2(二酸化炭素)などの温室効果ガスを6%削減することを目標に、省エネ住宅の普及など家庭における消費エネルギーを削減する対策に国をあげて取り組んでいます。
太陽光発電は屋根に太陽電池を取り付けて、太陽の光で電力を作り出すシステムです。
電力使用がピークになる夏に発電が多くできることから、発電時にCO2や有害なガスを出さず、人にも環境にもやさしい省エネ住宅を実現できる手段として国でも推奨しているシステムです。
この太陽光発電は、電気代を大幅に節約できるという点でも優れ、昼間は自家発電による電気を使うため電気代がかかりません。
そして余った電気は電力会社に売ることができます。
初期費用は高額ですが、長い目でみると太陽光発電の方が経済的な場合もあります。
しかも災害時や停電時に電力を得ることができることや、屋根に取り付けるパネルが夏涼しく冬暖かい断熱効果を発揮することでも評価が高く、近年では省エネ住宅でも取り入れられています。
一方、太陽光発電は設備が高額のこと、しかも天候に左右されやすいなど課題も多くあり、今後さらに改善が求められています。
太陽光発電は設置費用が高額なため、地方自治体による補助金制度が設置されており、さらなる普及が期待されています。
今日、地球の環境問題の深刻化にともない、省エネ住宅を実現する方法として自然エネルギーが注目を集めています。
自然エネルギーはCO2(二酸化炭素)を発生せず、クリーンで環境に優しいエネルギーです。
自然エネルギーの中でも太陽エネルギーは、省エネ住宅や施設で既に取り入れているところも多く、これを利用したものには太陽光発電(ソーラーシステム)や太陽熱温水器などがあります。
活用の幅が広いため、身近なエネルギーとして消費者の関心を集めています。
地熱エネルギーは日本の豊富な地熱資源を生かしたエネルギーで、地下で発生する熱を水蒸気や他の中間熱媒体によって取り出すことによって、主に入浴、冷暖房、園芸などの小規模な省エネに利用されています。
最近ブームになっている岩盤浴はこの地熱を利用したものです。
そして現代、最も期待が高まっているものに風力エネルギーがあります。
風を利用した風車は古代から生活の中で活用されていました。
現代では風車の回転をエネルギーに換え、電気自動車や風呂、温室などに利用されています。
低コストで熱変換には100%の効率が得られるため、今後用途の幅が広がっていくものと思われます。
水力エネルギーはほとんどが発電に使われており、水力発電として日本では古くからダムによる発電が行われてきました。
現代ではダムによる水力発電は減少傾向にありますが、別の方法で水力発電が行われています。
今後さらに研究が進み省エネ住宅に取り入れられることが期待されています。
石油や石炭などの化石燃料に頼らず、自然エネルギーを有効利用することが、未来の地球のために重要なことなのです。
自然エネルギーには他にも様々なものがあり、現在も研究開発が続けられています。
省エネ住宅の断熱性を考えるとき、窓やドアのほかに壁も重要な対策ポイントです。
住宅の新築時やリフォーム時に壁の断熱対策をしっかりしておくことで、冷暖房の効果を高めることができます。
壁の断熱方法には外張り断熱と充填断熱があります。
充填断熱は、柱と柱の間に断熱材を入れる方法で、「内断熱」とも呼ばれます。
世界中の多くの木造住宅ではこの充填断熱の工法が用いられており、日本でも主流になっています。
充填断熱では冷暖房の際に建物自体に熱を奪われないため、冷暖房効果を上げやすいという長所があります。
しかし短所として、柱や梁は断熱材を入れることができないため、外気の影響を受けやすく、また断熱材を分断して入れるため隙間が出来やすいという欠点があります。
外張り断熱は、住宅の基礎から壁、屋根に至る建物全体を断熱材で外側から包んでしまう方法で「外断熱」とも呼ばれています。
この工法は住宅全体が断熱層の内側に入るため、夏は外気の影響を受けにくく、冬は一度温まると冷えにくいという長所があります。
しかも結露が発生しにくく、建物の耐久性や気密性という点でもすぐれているため、近年注目を集めています。
とはいえ、断熱材を含んだ建物全体へ冷暖房効果が上がりにくく、外張り断熱に適する断熱材は比較的値段が高いため、全体のコストが高くつくという短所もあります。
また1軒の住宅で、この2つの工法を組み合わせる方法もあります。
どのような工法にしても、信頼できる設計者や施工者によってしっかりとした工事を行うことによって、質の高い省エネ住宅を建てることができます。
省エネ住宅で夏の間冷房に頼りすぎずに快適に暮らす方法として、屋根に十分な対策を行う必要があげられます。
夏は強い日射が屋根や外壁の温度を上げ、熱は天井、室内へ伝わり、空気の温度を上げるため、日射熱を室内に伝えないようにしなければいけません。
そのためには天井裏や屋根裏に断熱材を貼り付ける必要があります。
これは冬の間、暖かい空気が外へ流出するのを防ぐ効果もあります。
屋根材に日射を反射するものを使用し遮熱対策をすることも効果的な方法です。
屋根裏は気温が高い時には熱気をためこみ、冷房効果を下げる大きな原因になるため、屋根裏換気を取り付けるといった対策方法があります。
屋根裏換気は屋根裏の熱気を排出することで冷房効果をあげ、省エネにつながります。
さらに効果的な方法として、熱交換方式の換気システムがあります。
最近では屋根裏にロフトを取り付ける住宅が増えています。
ロフトのように屋根裏が住まい空間になっている場合には、断熱材の利用と屋根板を二重にするなどいくつかの方法を併用して遮熱対策を行う必要があります。
また屋根緑化も省エネ効果を高めるのに効果的な方法です。
屋根緑化は建物の屋根や屋上、ルーフテラスに芝生などを植えて緑化することで、自然と一緒に生活する方法です。
夏は涼しく、冬は暖かく、屋根素材の耐久性の向上とともにメリットが多く、都市のヒートアイランド現象の抑制にもなります。
そのためか以前は会社や施設などで多く見られましたが、最近では省エネ住宅でも取り入れられるようになってきました。
「環境共生住宅」とは、エネルギー、資源、廃棄物などの面で環境への配慮がされ、また周辺の自然環境と調和し、住む人が健康で快適に生活できるよう工夫された住宅のことを言います。
現在では国をあげて省エネ住宅や環境共生住宅の普及に取り組んでいますが、もともとこの環境共生住宅が提唱されるようになった背景には地球の環境問題や資源問題、都市化による住宅環境の悪化があります。
環境共生住宅は地球環境の保全を目的の一つに挙げています。
石油、石炭、ガスなどの使用を減らし、環境負荷の少ないエネルギーを有効利用することが重要になってきます。
そしてもう一つの目的に周辺環境との親和性があります。
住宅周辺に植栽を施したり、住宅敷地内や屋上の緑化によって、野鳥や虫などの生態系との共生が実現できます。
と同時にヒートアイランド現象や大気汚染などの環境問題への対策としても有効です。
また、環境共生住宅の概観は周囲の景観になじむことが大切です。
地域の町並みに住宅を調和させることは、視覚的、精神的に心地よい環境をつくることができます。
そして3つ目の目的に居住環境の健康、・快適性が挙げられます。
住宅内の有害物質が原因で発生する「シックハウス症候群」を防ぐためにも、建材・内装材へ十分配慮することが必要ですし、高齢化社会にともなう住宅全体のバリアフリー化や手すりを取り付けるなどの方法も必要でしょう。
環境共生住宅の実現には、さまざまな方法からそれぞれの住宅に合った方法を採用していくことになります。
環境共生住宅は、省エネによって環境問題の改善を目指す省エネ住宅とともに、今後私たちの住宅の基本となっていくことが期待されています。
家庭における照明のエネルギー消費量は全体の20%と言われています。
省エネ住宅を考える時、照明器具の省エネは毎月の電気代の節約にもなり、環境保全のためにもよいことです。
照明器具のランプには白熱灯と蛍光灯があります。
蛍光灯はランプ代は高いものの寿命が長いため、白熱灯より経済的で省資源と言えます。
蛍光灯は点灯時に一番多く電力を消費する特性があります。
点け消しが多ければ寿命も短くなってしまいますので、長時間点灯している部屋では蛍光灯が経済的で、点け消しが頻繁に繰り返されるトイレや洗面所には白熱灯が適していると言えます。
このようにランプの特性と設置場所の照明の使用状況によって、白熱灯と蛍光灯を的確に使い分けることが経済的であり、省エネ効果を上げることになります。
また調光器で明るさを調整することも効果的な方法です。
玄関や廊下など一晩中灯をつけておく場所に適したもので、ランプの寿命も長くなります。
もともと調光可能なランプは白熱灯だけでしたが、近年では蛍光灯でも調光可能なものが出回っています。
人の気配で自動的に点灯・消灯を行うセンサーは省エネ効果が高く、暗くなったり一定期時間人の気配がないと、自動的に消灯したり明るさを絞ることのできる高機能な器具も出ています。
LEDも経済的で寿命が長く、省エネに効果的な次世代の光源として注目を集めています。
このように照明は日々進化しており、省エネ効果の高い器具が次々と開発されています。
省エネ住宅では適切な照明設置と無駄な照明の消灯などに配慮して省エネを心掛けることが大切です。
窓ガラスは熱伝導がよく、最も外気が侵入しやすい部分です。
ですから、窓は省エネ住宅と大きく関わっています。
省エネ住宅では断熱ガラスや断熱サッシを取り付けて断熱性を高める方法が効果的です。
しかし新築時ならともかく、既に取り付けてある窓ガラスを取り替えることは大掛かりな改修工事になり、簡単にできることではありません。
そこで窓を覆うための「窓掛け」を有効に利用する方法が考えられます。
窓掛けにはいろいろな種類がありますが、最も多く使われているのがカーテンです。
カーテンは窓面積の覆い方によって省エネ効果は違い、窓のガラス部分だけを覆うより、天井から床まで垂らした方が効果的です。
カーテンの上下に隙間ができるつり方は省エネ効果を下げてしまいます。
さらに一重より二重の方が省エネ効果は高まります。
厚地と薄地の2枚を吊るして昼間と夜間、夏と冬で使い分けることもできます。
また、遮光性のあるカーテンや、編み目の細かい厚地のカーテンも効果的です。
もちろんカーテンのヒダが多い方が窓ガラスと室内との間にできる空気層が厚くなりますので、より省エネ効果が高まります。
ブラインドは、羽を調節することで直射日光を遮断し、光や熱の量を調節することができますので、住宅の窓でよく使われます。
羽に遮熱塗料が塗られたものもあり、夏は冷房効率を上げながら、明るさも確保できます。
またブラインドとカーテンを組み合わせて使うこともより効果的です。
和室に多く用いられる障子も省エネ効果に優れたものです。
最近では破れにくい障子紙も出回っていますが、夏場の強い日差しを和らげ、冬は室内の空気の流出を防ぎ暖かく保ってくれます。
窓掛けはインテリアとしてだけではなく、工夫次第で省エネ効果を発揮します。
省エネ住宅は、生活における消費エネルギーを少なく抑えられるよう配慮された住宅のことです。
ですから、環境にも優しく、また住む人にも負担の少ない住宅です。
国土交通省ではエネルギー消費量を少なくするために「省エネ法」によって基準を定めています。
省エネ法とは正式には「エネルギーの使用の合理化に関する法律」といい、建築物や機械器具において、石油、電力、ガスなどのエネルギーの効率的な使用促進を目的として制定された法律です。
この法律が制定された背景には、1970年代に起きた2度の石油ショックがあります。
この石油ショックで日本では産業や生活において省エネルギー対策が進み、エネルギーを効率的に利用する動きが始まりました。
しかしそれ以降もエネルギーの消費量は上昇したため、1979年に省エネ法が制定されたのです。
この省エネ法はこれまでに2度の大改正が行われています。
1度目は1998年で、この改正ではトップランナー方式が導入されました。
これにより自動車や電気製品の省エネ基準を、市場に出ている最も優れた製品の消費効率にすることが定められました。
2度目の改革は2005年で、消費者が省エネルギーに取り組むことを促進する規定も整備されました。
当初は省エネルギー基準の対象は電気冷蔵庫、エアコン、自動車の3品だけでしたが、現在では20品以上の品目に広がっています。
今日では国をあげて省エネ住宅の普及に取り組んでいます。
住宅に植栽を取り入れることでいろいろな省エネ効果を得ることができます。
夏には強い日射を遮ると同時に、屋外の温度を下げる効果があり、涼風、清風を得られます。
落葉樹だと、冬に葉が枯れ落ちるので、日射を室内に取り込めます。
植栽は、一年中室内を快適温度に近づけ、冷暖房によるエネルギー消費を抑えることに役立てることが出来ます。
植栽を行う時には樹木の選択に気をつける必要があります。
常緑樹は、夏には強い日差しを遮り涼しさをもたらしますが、冬には温かい日差しを遮ってしまいます。
南向き、東向き、西向きの窓の周囲には落葉樹が適し、特に南面には藤棚などで日陰をつくることも効果的です。
北向きの窓の周辺には、冬の間の防風や目隠しに有効な常緑樹が適しています。
また樹木を選ぶ際には、樹木の成長に伴う枝葉の広がりや高さを予測して、住宅の植栽場所に適しているかどうか判断しましょう。
植栽の中でも屋上緑化や壁面緑化は近年省エネ住宅として注目が集まっています。
これは屋根や壁面、ルーフテラスに芝生などの植物を植えて緑化する方法です。
緑化は断熱効果があるため、夏は涼しく冬は暖かく室温を保ち、冷暖房効果を高めることができます。
さらに緑は温室効果ガスであるCO2(二酸化炭素)を吸収するため環境にもやさしく、近年都市部で問題となっているヒートアイランド現象の緩和に役立ちます。
植物は生き物ですから、植栽や屋上、壁面の緑化には、水やりや雑草の抜き取り、枝葉の手入れなどの手間がかかりますが、環境にやさしく、視覚的にも精神的にも住む人に良い影響を与えるので、今後多くの省エネ住宅に積極的に取り入れられることが望まれます。
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