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窓は住宅の中で外気や日射を取り入れるために欠かせない部分ですが、熱伝導がよいため、外気の厳しい寒さや暑さの影響まで室内にもたらします。
そのため窓の大小や個数、位置によっては室内の冷暖房効果を大きく下げる場合もあり、多くのエネルギーを消費することになります。
住宅の断熱性は窓ガラスの性質とも大きく関わっていますから、省エネ住宅を考える時には省エネ効果の高い窓ガラスを選ぶことが望まれます。
一般的に住宅の窓ガラスとして多く使われるものに、フロート板ガラス、型板ガラス、編み入りガラス、合わせガラス、複層ガラス、真空ガラスなどがあります。
それらの中でも断熱性の高いものは複層ガラスや真空ガラスなどです。
真空ガラスは、「真空は熱を伝えない」という原理から開発された、2枚のガラスの間に真空層を作った窓ガラスです。
そして複層ガラスは2枚以上のガラスの間に空気やガスを入れてつくられたものです。
これらのガラスは断熱を目的に開発されたもので、住宅の中で高い断熱効果を発揮します。
省エネ意識の高いヨーロッパやアメリカでは、ほとんどの住宅の窓で複層ガラスを取り入れており、日本でも新築住宅において真空ガラスや複層ガラスの採用が多くなっています。
近年では窓ガラスに貼り付けるシートによって、冷暖房効率を上げる商品も開発されました。
窓ガラスを選ぶときには設置後の冷暖房効率や、寒暖など住居の環境を考えて総合的に検討することが大切です。
今後は窓ガラスにおける省エネ対策は選択の幅が増え、いっそう省エネ住宅が増えることが期待されます。
近年、省エネ住宅ではシックハウス症候群が問題になっています。
シックハウス症候群とは、住宅の新築や改築の直後に入居した人に起こる症状で、めまいや吐き気、頭痛、倦怠感、呼吸器疾患、湿疹などの体調不良が起きます。
シックハウス症候群の原因は、住宅の中の建材や家具、日用品から発生する様々な化学物質です。
近年の住宅は建築する際に、接着や殺虫などの目的でいろいろな化学物質を使用します。
その化学物資が室内空気を汚染し人体に入りこむのです。
このシックハウス症候群が認知されていない頃には原因不明な症状とされ、自宅療養などでさらに症状が悪化することがあったようです。
特に気密性に優れた省エネ住宅では、換気が十分行われずに汚染された空気が室内に留まり、シックハウス症候群の発生や悪化につながりやすいと言われます。
近年では法律でも建築材料や殺虫剤の使用を制限するなどの対策を行っていますが、シックハウス症候群を発生させないためには、原因物質を生活環境から排除するだけではなく、日常生活の中でも換気方法や日用品の選び方に注意することが大切です。
特に新築や改築の当初と、高温多湿になる夏は、化学物質の発散が多くなります。
省エネ住宅では換気設備を有効に利用し、複数の窓を開放して十分な通風を確保することが必要です。
そして室内は禁煙にし、カーテンやじゅうたん、床に塗るワックス類、防虫剤、洗剤などの日用品は化学物質を発散するものがあるので十分注意して選ぶようにします。
省エネ住宅の機能を十分利用し快適に過ごすためにも、化学物質はできるだけ室内から排除したいものです。
住宅における窓の役割の一つに、太陽の光と熱を取り入れることがあります。
窓は日射が入る場所でありますが、隙間できやすく、また、壁と比べて熱伝導もよい部分です。
ですから室内の温度は外気の侵入の度合いが大きく影響してきます。
昔と比べて性能が良くなった現代の住宅では、窓ガラスからの熱気、冷気の侵入と損失が室内に大きく影響しています。
実際に住宅メーカーの調査では夏は窓から外の熱が53%室内に侵入し、冬は暖かい空気が37%流出するという結果もあります。
そこで省エネ住宅の建築には、一般的に窓にはペアガラスや断熱サッシが多く利用されています。
ペアガラスとはガラスを2枚使ってその中に空気を閉じ込めたもので、窓の断熱性を高めるために開発された効果の高いものです。
ペアガラス以外にもガラスにはいろいろな種類があり、それぞれ省エネ効果に違いがあります。
そして窓枠も断熱性の高い構造のものや、断熱効果の高い木や合成樹脂でできたものがあります。
実際にはガラス、窓枠の断熱性、住宅がおかれる環境などを総合的に判断して、住宅に必要な窓が決まっていきます。
また窓の数や位置によっても、外気の影響の大小は変わってきます。
同じ室内に窓が2箇所以上あると風通しがよく、夏の遮光と冬の日射の両面を考慮すると、低い位置が適当だといえます。
省エネ住宅には窓の対策が重要なポイントになりますので、窓を有効に利用し、冷暖房に頼り過ぎない生活を心掛けましょう。
1990年代になると、地球温暖化のもたらす問題が指摘され始め、世界各国で防止対策が講じられるようになりました。
日本も例外ではなく、地球温暖化の防止対策の一つとして、各家庭における消費エネルギーを削減する取り組みが始まりました。
「省エネ住宅」という考えの背景には、この地球の環境問題があるのです。
国ではこの省エネ住宅を普及させるため、各種補助金制度を設置するなどの取り組みを行っています。
「エコキュート導入補助金制度」もその一つで、これは家庭の中のエネルギー消費量の3分の1を占める給湯に着目し、高効率給湯機であるエコキュートを導入する際にその費用を補助する制度です。
最近では、指定された高効率システムを住宅に導入する場合、建築主にその費用の一部を補助する補助金制度が設置されました。
この制度を利用して高効率システムの導入が増えることが期待されています。
「太陽光発電システム」の導入に際しては、国の補助金制度を地方自治体が引継ぎ、自治体により金額や条件が異なるものの、補助金制度を設けています。
特に太陽光発電システムは設置費用が高額なため、補助金制度の効果が期待されています。
他にも自治体によって個別の補助金制度が多くあり、自治体の環境問題へ取り組む姿勢が明らかになっています。
とはいうものの、省エネ住宅に関する補助金制度は、建築会社や関係者の間では周知されていますが、一般市民には余り知られていないのが実情です。
補助金制度が効果を発揮して日本の省エネ住宅が増え、もっと地球環境改善につながるといいですね。
一般家庭におけるエアコンの消費電力は、電気消費量全体の4割を占めるそうです。
日本では、特に梅雨から夏にかけて湿度が高まるため、快適な室内環境を作るためにエアコンを利用する機会が多くなります。
エアコンに頼らない生活をするのが一番の省エネですが、現実にはその日の天候によってはエアコンが必要な場合も結構あるものです。
そこで省エネ住宅では、エアコンによるエネルギーの消費量を抑えることがポイントになってきます。
その中で、エアコンの機種の選び方に注意することによって、省エネにつなげていく方法があります。
エアコンは店頭でも様々なメーカーのものが販売され、機能や性能も多様ですが、まず最初に確認するべき点は「省エネラベル」です。
これには省エネ性マークと省エネ基準達成率、そしてエネルギー消費効率、目標年度の4つの情報が示されています。
多機種を比較検討される際には是非参考にされると良いでしょう。
機能面では、近年自動的にフィルターの掃除をする機種が人気を集めています。
一般的なエアコンのフィルターはこまめに掃除をしないとホコリがたまり、冷房効果を下げてしまいます。
自動掃除機能はエアコン内部をきれいに保つ機能ですから、フィルターの掃除をしなくても冷房効果を維持することができ、省エネ対策につながります。
他にも、人を感知して運転を調整する機能や、その家庭に最適な運転を自動で行う機能があり、無駄を省くことで省エネ効果を上げることが期待できるエアコンも販売されています。
エアコンは省エネ住宅にも欠かせないものですが、できるだけ環境への負荷が少ないものを選びたいものです。
高断熱、高気密の省エネ住宅では夏の暑さが室内にこもりやすいと言われますが、風通しを確保し、風と一緒に暑さを逃がすことで解決できます。
自然の風を室内へ取り入れることによって室内の温度や湿度を調整し、快適な室内環境を保つことは身体にもよく、省エネにも効果的です。
このように冷暖房に頼りすぎない生活が理想的です。
風通しにはまず、窓を開けた時に自然の風が入りやすい環境することが必要です。
間取りを決める時には、建物や庭の植栽が風を妨げないように窓を配置します。
窓の大きさや方位も風通しの良し悪しを決める重要な条件です。
基本的に南面に大きな窓、東、西、北には必要最小限の大きさの窓を設置します。
窓を大きくすると熱損失が大きくなってしまうため、日射を得る窓以外は風が通る最小限の大きさにとどめることが省エネ対策につながります。
そして風の入口と出口を考慮し、2面以上の壁に窓を配置することが重要です。
最近では開放感を高める目的で、玄関やリビングに吹き抜け空間を設ける住宅が増えていますが、これは風通しの面から有効な方法で、特に夏は涼しいという利点があります。
そのとき、吹き抜けの壁に大きな窓を設けることで、光による明るさと熱も得ることが出来ます。
そして、この吹き抜けの風通し効果を最大限に発揮するためには、1階から吹き抜けの窓へ空気が流れるように窓や換気扇を工夫することが必要です。
とはいえ、冬には暖かい空気が吹き抜け上部にたまり、1階の床面の温度が下がるという問題が生じます。
では、空間全体を均一な温度に近づけるためには、どうしたらよいでしょうか。
そのためには屋根や壁の断熱をしっかり行うこと。
それと同時に天井扇で空気を循環させるなどの工夫をすることです。
住宅の快適さを左右する重要な条件のひとつに日射があります。
冬場はできるだけ多く日射を取り込むと、暖房の補助的な役割を果たします。
日射そのものの熱だけではなく、日射で暖められた床や住宅全体から輻射熱によって室内の温かさが保たれます。
このように日射を直接室内に取り込む方法を「ダイレクトゲイン」といい、自然の恵みを利用した省エネ方法の一つです。
夏は、冬とは反対に日射をできるだけ取り込まないことが冷房効果を高めます。
夏の日射熱はとても強く、屋根や外壁から内部へ伝わり室内の空気の温度を上昇させます。
そしてさらに輻射によって住む人に伝わり、暑さを感じることになります。
断熱性の高い省エネ住宅では、一度室内に入った熱は外へ逃げにくい構造になっています。
ですから日射を室内に入れない対策が必要になってきます。
夏に日射を室内へ入れないためには、屋根や外壁、窓ガラスの断熱性を高くする方法があります。
最近では、ガラスに特殊なコーティングがしてある「遮熱ガラス」が出回っていて、日射による熱が室内に入らないため、省エネ住宅などに取り入れられています。
建物の軒を出したり、ひさしをつける。
樹木を植えて日陰を作り、日射を除けることも効果的な方法です。
樹木、草花には周辺の温度を下げる効果があり、涼しい風を得ることができます。
窓にカーテン、ブラインド、サンシェード、すだれ等をとりつける方法も冷房効果を高めることができる手軽な方法です。
また省エネ住宅では必要に応じて日射を取り込んだり、遮断したりして冷暖房によるエネルギー消費を抑えることが大切です。
省エネ住宅は断熱性や気密性にすぐれ隙間のない構造になっているため、冷暖房効果が高まります。
しかしその反面、住宅内で大量に発生する湿気が問題になっています。
湿気は外気や壁面、床面、調理、入浴、暖房などあらゆるところから発生します。
そして通気の悪い場所に溜まり、カビやダニを繁殖させたり、結露をおこしたり住宅や健康に悪影響を及ぼします。
そのため省エネ住宅では特にしっかりと湿気対策を行う必要があります。
天気の良い日に複数の窓を開放して風を通す方法は最も健康的で省エネですが、計画的に必要換気量を計算し、必要換気量に適合する換気設備を設置して湿気を排出する方法もあります。
湿気のこもりやすい床下には床下用換気扇を設置し強制排気することで、床下の建材のカビや、床面から室内への湿気の流入を防ぐことができます。
部屋では除湿機やエアコンの除湿機能を利用することも効果的です。
また、押入れや天井裏などの狭い部分には市販の吸湿材が有効で便利です。
生活の中で少し配慮することによって、室内の湿気の発生を抑えることもできます。
例えば雨の日には室内に洗濯物を干さないことです。
雨の日には換気の効果も低いため、室内に湿気を発生させないことが大切です。
室内の観葉植物や水槽も湿気を発生させるものになります。
そして開放型ストーブなども避けた方が良いでしょう。
室内の湿度は40~60%が望ましいとされていますので、毎日湿度計で定期的に測定し、それぞれ場所に合った湿気対策で、適切な湿度を保つように工夫しましょう。
近年では電化製品や石油機器が普及しエネルギー消費量が増加する一方、「省エネ住宅」という考えの普及に伴い、省エネ性能の高い製品が求められるようになりました。
そこで2000年8月に、消費者が「「省エネ型製品」を購入する目安として「省エネラベリング制度」がJIS規格として制定されました。
「省エネラベリング制度」とは電気や石油などのエネルギー消費機器の省エネ性能を表示したものです。
店頭で、消費者が製品の購入する際、多機種との比較検討の材料として利用することを目的としています。
この「省エネラベル」には4つの情報が示されていて、現在、テレビ、エアコン、冷蔵庫など16品目が対象になっています。
「省エネラベル」の一つ目の情報は、省エネ基準の達成を示す「省エネ性マーク」です。
オレンジ色のマークは基準を達成していない製品、緑色のマークは基準を達成した製品で、省エネ効果の高い製品ということになります。
二つ目の情報は、製品の省エネ基準の達成率を%で表した「省エネ基準達成率」を表示しています。
この達成率が高いほど省エネ性能に優れていることになります。
三つ目は、省エネ基準の達成を目指す時期を「目標年度」として表示しています。
四つ目は、製品の「エネルギー消費量」を数値で表示しています。
省エネ性能が高い製品は消費エネルギーが少ないわけですから、光熱費を抑えることができる製品でもあります。
ですから、省エネ住宅では生活用品の機能や使いやすさにも配慮しつつ、環境や家計に優しいものを選ぶことが望まれます。
1990年代に入り地球温暖化のもたらす問題が指摘され始めました。
世界各国で防止対策が講じられる中、日本も例外ではなく、地球温暖化の防止対策の一つとして、各家庭における消費エネルギーを削減する取り組みが始まりました。
そこでそれまでの省エネルギー基準が見直され、新たに定められたものが現在の「次世代省エネルギー基準」です。
そしてこの基準を満たすため、快適な室内環境を保ちながら、消費エネルギーを少なくするよう様々な工夫や配慮された住宅が省エネ住宅です。
この次世代省エネルギー基準は「住宅に係るエネルギーの使用の合理化に関する建築主の判断基準」と「同設計及び施工の指針」を指しています。
住宅や建築物の性能基準や、建築する時の具体的な仕様など、省エネルギー対策について具体的に定めた基準です。
一般家庭で消費されるエネルギーの約70%は冷暖房、給油設備だと言われています。
1軒ずつで消費するエネルギーはわずかでも、日本中の家庭を考えると膨大な消費量になります。
住宅の性能をあげることによって、日本全体のエネルギー消費量を抑制することが「次世代省エネルギー基準」の目的であり、住宅のエネルギー消費量を抑えることによって、温暖化を引き起こすとされる二酸化炭素の削減にもつながるのです。
日本の住宅は、冷暖房を前提として建築されているため、この「次世代省エネルギー基準」は機密性と断熱性を高めることを重視しています。
従って、この基準の特色は、断熱、気密化による「閉じる」機能と、窓の設置による「開ける」機能を上手に利用し
て住いを快適にしようという考え方です。
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