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「環境共生住宅」とは、エネルギー、資源、廃棄物などの面で環境への配慮がされ、また周辺の自然環境と調和し、住む人が健康で快適に生活できるよう工夫された住宅のことを言います。
現在では国をあげて省エネ住宅や環境共生住宅の普及に取り組んでいますが、もともとこの環境共生住宅が提唱されるようになった背景には地球の環境問題や資源問題、都市化による住宅環境の悪化があります。
環境共生住宅は地球環境の保全を目的の一つに挙げています。
石油、石炭、ガスなどの使用を減らし、環境負荷の少ないエネルギーを有効利用することが重要になってきます。
そしてもう一つの目的に周辺環境との親和性があります。
住宅周辺に植栽を施したり、住宅敷地内や屋上の緑化によって、野鳥や虫などの生態系との共生が実現できます。
と同時にヒートアイランド現象や大気汚染などの環境問題への対策としても有効です。
また、環境共生住宅の概観は周囲の景観になじむことが大切です。
地域の町並みに住宅を調和させることは、視覚的、精神的に心地よい環境をつくることができます。
そして3つ目の目的に居住環境の健康、・快適性が挙げられます。
住宅内の有害物質が原因で発生する「シックハウス症候群」を防ぐためにも、建材・内装材へ十分配慮することが必要ですし、高齢化社会にともなう住宅全体のバリアフリー化や手すりを取り付けるなどの方法も必要でしょう。
環境共生住宅の実現には、さまざまな方法からそれぞれの住宅に合った方法を採用していくことになります。
環境共生住宅は、省エネによって環境問題の改善を目指す省エネ住宅とともに、今後私たちの住宅の基本となっていくことが期待されています。
家庭における照明のエネルギー消費量は全体の20%と言われています。
省エネ住宅を考える時、照明器具の省エネは毎月の電気代の節約にもなり、環境保全のためにもよいことです。
照明器具のランプには白熱灯と蛍光灯があります。
蛍光灯はランプ代は高いものの寿命が長いため、白熱灯より経済的で省資源と言えます。
蛍光灯は点灯時に一番多く電力を消費する特性があります。
点け消しが多ければ寿命も短くなってしまいますので、長時間点灯している部屋では蛍光灯が経済的で、点け消しが頻繁に繰り返されるトイレや洗面所には白熱灯が適していると言えます。
このようにランプの特性と設置場所の照明の使用状況によって、白熱灯と蛍光灯を的確に使い分けることが経済的であり、省エネ効果を上げることになります。
また調光器で明るさを調整することも効果的な方法です。
玄関や廊下など一晩中灯をつけておく場所に適したもので、ランプの寿命も長くなります。
もともと調光可能なランプは白熱灯だけでしたが、近年では蛍光灯でも調光可能なものが出回っています。
人の気配で自動的に点灯・消灯を行うセンサーは省エネ効果が高く、暗くなったり一定期時間人の気配がないと、自動的に消灯したり明るさを絞ることのできる高機能な器具も出ています。
LEDも経済的で寿命が長く、省エネに効果的な次世代の光源として注目を集めています。
このように照明は日々進化しており、省エネ効果の高い器具が次々と開発されています。
省エネ住宅では適切な照明設置と無駄な照明の消灯などに配慮して省エネを心掛けることが大切です。
窓ガラスは熱伝導がよく、最も外気が侵入しやすい部分です。
ですから、窓は省エネ住宅と大きく関わっています。
省エネ住宅では断熱ガラスや断熱サッシを取り付けて断熱性を高める方法が効果的です。
しかし新築時ならともかく、既に取り付けてある窓ガラスを取り替えることは大掛かりな改修工事になり、簡単にできることではありません。
そこで窓を覆うための「窓掛け」を有効に利用する方法が考えられます。
窓掛けにはいろいろな種類がありますが、最も多く使われているのがカーテンです。
カーテンは窓面積の覆い方によって省エネ効果は違い、窓のガラス部分だけを覆うより、天井から床まで垂らした方が効果的です。
カーテンの上下に隙間ができるつり方は省エネ効果を下げてしまいます。
さらに一重より二重の方が省エネ効果は高まります。
厚地と薄地の2枚を吊るして昼間と夜間、夏と冬で使い分けることもできます。
また、遮光性のあるカーテンや、編み目の細かい厚地のカーテンも効果的です。
もちろんカーテンのヒダが多い方が窓ガラスと室内との間にできる空気層が厚くなりますので、より省エネ効果が高まります。
ブラインドは、羽を調節することで直射日光を遮断し、光や熱の量を調節することができますので、住宅の窓でよく使われます。
羽に遮熱塗料が塗られたものもあり、夏は冷房効率を上げながら、明るさも確保できます。
またブラインドとカーテンを組み合わせて使うこともより効果的です。
和室に多く用いられる障子も省エネ効果に優れたものです。
最近では破れにくい障子紙も出回っていますが、夏場の強い日差しを和らげ、冬は室内の空気の流出を防ぎ暖かく保ってくれます。
窓掛けはインテリアとしてだけではなく、工夫次第で省エネ効果を発揮します。
省エネ住宅は、生活における消費エネルギーを少なく抑えられるよう配慮された住宅のことです。
ですから、環境にも優しく、また住む人にも負担の少ない住宅です。
国土交通省ではエネルギー消費量を少なくするために「省エネ法」によって基準を定めています。
省エネ法とは正式には「エネルギーの使用の合理化に関する法律」といい、建築物や機械器具において、石油、電力、ガスなどのエネルギーの効率的な使用促進を目的として制定された法律です。
この法律が制定された背景には、1970年代に起きた2度の石油ショックがあります。
この石油ショックで日本では産業や生活において省エネルギー対策が進み、エネルギーを効率的に利用する動きが始まりました。
しかしそれ以降もエネルギーの消費量は上昇したため、1979年に省エネ法が制定されたのです。
この省エネ法はこれまでに2度の大改正が行われています。
1度目は1998年で、この改正ではトップランナー方式が導入されました。
これにより自動車や電気製品の省エネ基準を、市場に出ている最も優れた製品の消費効率にすることが定められました。
2度目の改革は2005年で、消費者が省エネルギーに取り組むことを促進する規定も整備されました。
当初は省エネルギー基準の対象は電気冷蔵庫、エアコン、自動車の3品だけでしたが、現在では20品以上の品目に広がっています。
今日では国をあげて省エネ住宅の普及に取り組んでいます。
住宅に植栽を取り入れることでいろいろな省エネ効果を得ることができます。
夏には強い日射を遮ると同時に、屋外の温度を下げる効果があり、涼風、清風を得られます。
落葉樹だと、冬に葉が枯れ落ちるので、日射を室内に取り込めます。
植栽は、一年中室内を快適温度に近づけ、冷暖房によるエネルギー消費を抑えることに役立てることが出来ます。
植栽を行う時には樹木の選択に気をつける必要があります。
常緑樹は、夏には強い日差しを遮り涼しさをもたらしますが、冬には温かい日差しを遮ってしまいます。
南向き、東向き、西向きの窓の周囲には落葉樹が適し、特に南面には藤棚などで日陰をつくることも効果的です。
北向きの窓の周辺には、冬の間の防風や目隠しに有効な常緑樹が適しています。
また樹木を選ぶ際には、樹木の成長に伴う枝葉の広がりや高さを予測して、住宅の植栽場所に適しているかどうか判断しましょう。
植栽の中でも屋上緑化や壁面緑化は近年省エネ住宅として注目が集まっています。
これは屋根や壁面、ルーフテラスに芝生などの植物を植えて緑化する方法です。
緑化は断熱効果があるため、夏は涼しく冬は暖かく室温を保ち、冷暖房効果を高めることができます。
さらに緑は温室効果ガスであるCO2(二酸化炭素)を吸収するため環境にもやさしく、近年都市部で問題となっているヒートアイランド現象の緩和に役立ちます。
植物は生き物ですから、植栽や屋上、壁面の緑化には、水やりや雑草の抜き取り、枝葉の手入れなどの手間がかかりますが、環境にやさしく、視覚的にも精神的にも住む人に良い影響を与えるので、今後多くの省エネ住宅に積極的に取り入れられることが望まれます。
窓は住宅の中で外気や日射を取り入れるために欠かせない部分ですが、熱伝導がよいため、外気の厳しい寒さや暑さの影響まで室内にもたらします。
そのため窓の大小や個数、位置によっては室内の冷暖房効果を大きく下げる場合もあり、多くのエネルギーを消費することになります。
住宅の断熱性は窓ガラスの性質とも大きく関わっていますから、省エネ住宅を考える時には省エネ効果の高い窓ガラスを選ぶことが望まれます。
一般的に住宅の窓ガラスとして多く使われるものに、フロート板ガラス、型板ガラス、編み入りガラス、合わせガラス、複層ガラス、真空ガラスなどがあります。
それらの中でも断熱性の高いものは複層ガラスや真空ガラスなどです。
真空ガラスは、「真空は熱を伝えない」という原理から開発された、2枚のガラスの間に真空層を作った窓ガラスです。
そして複層ガラスは2枚以上のガラスの間に空気やガスを入れてつくられたものです。
これらのガラスは断熱を目的に開発されたもので、住宅の中で高い断熱効果を発揮します。
省エネ意識の高いヨーロッパやアメリカでは、ほとんどの住宅の窓で複層ガラスを取り入れており、日本でも新築住宅において真空ガラスや複層ガラスの採用が多くなっています。
近年では窓ガラスに貼り付けるシートによって、冷暖房効率を上げる商品も開発されました。
窓ガラスを選ぶときには設置後の冷暖房効率や、寒暖など住居の環境を考えて総合的に検討することが大切です。
今後は窓ガラスにおける省エネ対策は選択の幅が増え、いっそう省エネ住宅が増えることが期待されます。
近年、省エネ住宅ではシックハウス症候群が問題になっています。
シックハウス症候群とは、住宅の新築や改築の直後に入居した人に起こる症状で、めまいや吐き気、頭痛、倦怠感、呼吸器疾患、湿疹などの体調不良が起きます。
シックハウス症候群の原因は、住宅の中の建材や家具、日用品から発生する様々な化学物質です。
近年の住宅は建築する際に、接着や殺虫などの目的でいろいろな化学物質を使用します。
その化学物資が室内空気を汚染し人体に入りこむのです。
このシックハウス症候群が認知されていない頃には原因不明な症状とされ、自宅療養などでさらに症状が悪化することがあったようです。
特に気密性に優れた省エネ住宅では、換気が十分行われずに汚染された空気が室内に留まり、シックハウス症候群の発生や悪化につながりやすいと言われます。
近年では法律でも建築材料や殺虫剤の使用を制限するなどの対策を行っていますが、シックハウス症候群を発生させないためには、原因物質を生活環境から排除するだけではなく、日常生活の中でも換気方法や日用品の選び方に注意することが大切です。
特に新築や改築の当初と、高温多湿になる夏は、化学物質の発散が多くなります。
省エネ住宅では換気設備を有効に利用し、複数の窓を開放して十分な通風を確保することが必要です。
そして室内は禁煙にし、カーテンやじゅうたん、床に塗るワックス類、防虫剤、洗剤などの日用品は化学物質を発散するものがあるので十分注意して選ぶようにします。
省エネ住宅の機能を十分利用し快適に過ごすためにも、化学物質はできるだけ室内から排除したいものです。
住宅における窓の役割の一つに、太陽の光と熱を取り入れることがあります。
窓は日射が入る場所でありますが、隙間できやすく、また、壁と比べて熱伝導もよい部分です。
ですから室内の温度は外気の侵入の度合いが大きく影響してきます。
昔と比べて性能が良くなった現代の住宅では、窓ガラスからの熱気、冷気の侵入と損失が室内に大きく影響しています。
実際に住宅メーカーの調査では夏は窓から外の熱が53%室内に侵入し、冬は暖かい空気が37%流出するという結果もあります。
そこで省エネ住宅の建築には、一般的に窓にはペアガラスや断熱サッシが多く利用されています。
ペアガラスとはガラスを2枚使ってその中に空気を閉じ込めたもので、窓の断熱性を高めるために開発された効果の高いものです。
ペアガラス以外にもガラスにはいろいろな種類があり、それぞれ省エネ効果に違いがあります。
そして窓枠も断熱性の高い構造のものや、断熱効果の高い木や合成樹脂でできたものがあります。
実際にはガラス、窓枠の断熱性、住宅がおかれる環境などを総合的に判断して、住宅に必要な窓が決まっていきます。
また窓の数や位置によっても、外気の影響の大小は変わってきます。
同じ室内に窓が2箇所以上あると風通しがよく、夏の遮光と冬の日射の両面を考慮すると、低い位置が適当だといえます。
省エネ住宅には窓の対策が重要なポイントになりますので、窓を有効に利用し、冷暖房に頼り過ぎない生活を心掛けましょう。
1990年代になると、地球温暖化のもたらす問題が指摘され始め、世界各国で防止対策が講じられるようになりました。
日本も例外ではなく、地球温暖化の防止対策の一つとして、各家庭における消費エネルギーを削減する取り組みが始まりました。
「省エネ住宅」という考えの背景には、この地球の環境問題があるのです。
国ではこの省エネ住宅を普及させるため、各種補助金制度を設置するなどの取り組みを行っています。
「エコキュート導入補助金制度」もその一つで、これは家庭の中のエネルギー消費量の3分の1を占める給湯に着目し、高効率給湯機であるエコキュートを導入する際にその費用を補助する制度です。
最近では、指定された高効率システムを住宅に導入する場合、建築主にその費用の一部を補助する補助金制度が設置されました。
この制度を利用して高効率システムの導入が増えることが期待されています。
「太陽光発電システム」の導入に際しては、国の補助金制度を地方自治体が引継ぎ、自治体により金額や条件が異なるものの、補助金制度を設けています。
特に太陽光発電システムは設置費用が高額なため、補助金制度の効果が期待されています。
他にも自治体によって個別の補助金制度が多くあり、自治体の環境問題へ取り組む姿勢が明らかになっています。
とはいうものの、省エネ住宅に関する補助金制度は、建築会社や関係者の間では周知されていますが、一般市民には余り知られていないのが実情です。
補助金制度が効果を発揮して日本の省エネ住宅が増え、もっと地球環境改善につながるといいですね。
一般家庭におけるエアコンの消費電力は、電気消費量全体の4割を占めるそうです。
日本では、特に梅雨から夏にかけて湿度が高まるため、快適な室内環境を作るためにエアコンを利用する機会が多くなります。
エアコンに頼らない生活をするのが一番の省エネですが、現実にはその日の天候によってはエアコンが必要な場合も結構あるものです。
そこで省エネ住宅では、エアコンによるエネルギーの消費量を抑えることがポイントになってきます。
その中で、エアコンの機種の選び方に注意することによって、省エネにつなげていく方法があります。
エアコンは店頭でも様々なメーカーのものが販売され、機能や性能も多様ですが、まず最初に確認するべき点は「省エネラベル」です。
これには省エネ性マークと省エネ基準達成率、そしてエネルギー消費効率、目標年度の4つの情報が示されています。
多機種を比較検討される際には是非参考にされると良いでしょう。
機能面では、近年自動的にフィルターの掃除をする機種が人気を集めています。
一般的なエアコンのフィルターはこまめに掃除をしないとホコリがたまり、冷房効果を下げてしまいます。
自動掃除機能はエアコン内部をきれいに保つ機能ですから、フィルターの掃除をしなくても冷房効果を維持することができ、省エネ対策につながります。
他にも、人を感知して運転を調整する機能や、その家庭に最適な運転を自動で行う機能があり、無駄を省くことで省エネ効果を上げることが期待できるエアコンも販売されています。
エアコンは省エネ住宅にも欠かせないものですが、できるだけ環境への負荷が少ないものを選びたいものです。
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